NTTデータの人事制度が、日本のポスドクの地位を引き上げそうだ。
NTTデータさんが画期的な人事制度を導入した、というニュースが飛び込んできました。
https://news.mynavi.jp/article/20181204-735638/
要約すると、
・今後伸びる分野のデジタル人材は高待遇でお迎えします。
・専門性の高い人材を年棒制で採用します。
・外資系に負けないぐらいの報酬を払います。
・ポスドクの方も来てください。
日経の記事では「年棒最高3,000万円?」なんてありましたが、この制度のポイントはそこではありません。
3,000万円の人材は、相当なハイレベルでないともらえないはずですから。
それよりも注目すべきは「ポスドクも対象になっているところ」です。
ポスドクとは、簡単に言うと「博士課程を持っているが、大学の正規職員ではなく、期間限定で研究している職員」のことです。
その期間は、長くて3年と言われております。
ポスドク期間中に他の大学の正規職員になれれば最高ですが、なれないと他の研究室に行くしかない。最悪無職です。
博士号を持っている賢い人が、30過ぎてニートになるっていう、ありえない結末もありえます。
しかも賃金がべらぼうに低い。
年収300万とかもあるようです。
正直、このような状況になるのをためらって博士課程に進まず、修士課程で就職する人材も多い。
(過去にそういう人材を獲得したこともあります)
そして、企業としては、今までポスドクを新卒の対象にしていないところがほとんどでした。
雇っても数年で辞めるかもしれないし、専門家として尖りすぎていると、他の仕事で上手くフィットしないリスクがあるからです。
しかし、NTTデータさんはここに切り込んできました。
ただ、ポスドク採用ってよく考えると双方にメリットあるんですよね。
ポスドクとしては、大学で研究員をするよりもいい報酬がもらえる。
(まあスキルによりますが…)
しかも、企業の就業経験は、研究に活かせます。
企業としては、最先端分野の専門家をある程度抑えた費用で雇うことができる。
(よそから高い金払って連れてきた人材が「意外とダメだった」なんて言ったら目も当てられません。意外とリスクが高いのです)
期間限定なら大きな負担にならないし、常に新しい分野の専門家を連れてくることができる。
双方にとって良い方向に進むだろうし、今後の研究環境を変えるかもしれません。
日本の研究者を養成する動きになるといいな、と考えています。