【民法】契約締結前の責任について、まとめてみました。
今回もこちらの本。
- 作者: 田路至弘
- 出版社/メーカー: 商事法務
- 発売日: 2018/08/23
- メディア: 単行本
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第二章は「契約締結前の法律関係」について書かれています。
この点をアウトプットしていこうかと思います。
まず、契約を締結すると、双方が、債権という法的な権利を、債務という法的な義務を持ちます。
売買契約をして、こちらが物を引き渡したにもかかわらず、相手がお金を払わなかったら、「金払え!」と請求できます。
それでも払わなかったら、裁判所に訴えることができます。
相手が法的な義務があるのにやらないならば、こちらは法的な権利を行使できるからです。
契約すると、法的に拘束されます。
それならば、契約締結前だとどうなるでしょう?
契約を締結する → 法的な権利義務が発生する
ならば、
契約を締結していない → 法的な権利義務は発生していない
と、考えられます。
基本的にはこのとおりです。
ただ、どんなときもこの原則を貫くと不都合が生じます。
では、どんな場合に法的な責任が発生するのでしょう。
1.ほぼ契約締結まで話は進んでいるのに、契約締結しなかった
契約書の内容を細かい部分はまで詰めたにもかかわらず、契約を締結しなかったような場合です。
2.契約締結する前に、重要な情報を伝達しなかった。
不動産販売者が不動産を販売するときに、買い主が重要だと考えている情報(今後、近隣に日照や景観を損なう建物が立つという情報)を、積極的に開示しなかったような場合です。
ただ、これは売り手と買い手で入手する情報に大きな差がある場合に適用になります。
3.「契約締結するよ」というようなことを言っていたのに、締結しなかった。
口頭で内示したり、発注書や条件提示書を交付するなど、相手方に契約締結につき過度の期待を抱かせたような場合です。
これらの場合、責任の範囲はどこまででしょうか?
相手方が契約を履行するために負担した費用(信頼利益)は負担しなければなりません。
【まとめ】
契約する前は、基本的に法的関係にはならない。
ただし、相手方に契約締結するだろうという過度の期待をさせると、相手が負担した費用は払わないとならない。